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桜の木の下で

「今日の活動はお花見に出かけるわよ!」
という団長の鶴の一声で俺たちは柔らかな日差しが注ぐ中、学校から程近い土手に連なる桜並木までやってきた。
花もいいけど団子も必要よね、というハルヒの気が付きで、途中に買出しをし当たり前のように荷物持ちをさせられほんの少し花見に対してモチベーションが下がってきたところで朝比奈さんが
「後は私たちが準備するのでキョンくんはお花、見てきてください」
となんともお優しい心遣いをしてくれたおかげで俺は花見のモチベーションを完全に失わなくて済んだのだ。

朝比奈さんのお言葉に甘えて暫くぶらぶらと桜並木を歩く。
おお、これは圧巻。ちょうど満開というところか。桜に見とれていたらいつの間にかハルヒが隣にいた。
ハルヒ、おまえ朝比奈さんに準備を全部押し付けてきたな?
「あら、やろうとしたら古泉君が代わってくれたのよ。彼、あんたと違って気が利くわよねえ~」 ジト目でハルヒに睨まれ俺は古泉に向かって心の中で毒づいた。余計なことをしやがって。

「またなんでいきなり花見なんだ?今度の不思議探索ツアーでもよかったんじゃないのか」
俺はふと思った疑問をハルヒにぶつける。
「わかってないわねえ。今日は散る前の満開を堪能して、土曜日は散る桜を鑑賞するの」
「今週は花見三昧だな」
「いいじゃない。年に1度しかないのよ?たっぷりと楽しまなくちゃね!」
ハルヒらしい考えだ。まあ、花見に関しては俺も珍しく賛成だ。
「散り始めの桜吹雪もいいけど、やっぱり満開の方がきれいよね」
「ああ、これを見ると日本人に生まれて良かったと思うよな」

しばらく俺はハルヒと並んで桜を眺めていたのだが、ふと視線を下げてハルヒの横顔を盗み見た。
長いまつげに整った鼻筋、桜を見つめる清んだ瞳、柔らかそうな白い頬につやのある唇。
桜に見とれていたはずが気がついたらハルヒに見とれていた。
そんな俺の視線を感じ取ったのかハルヒの視線が桜から俺に移る。
「なに?」
不意に見つめられて俺の心臓がドキリとしたのは気のせいだと思いたい。
「いいや、なにも」
まさかお前に見とれてたなんて口が裂けても言えるかよ。
俺の意思とは関係なく勝手に動機が早くなる心臓の動きをごまかすかのように俺はハルヒの頭をくしゃくしゃとかき回した。
静まれ俺の心臓!
「きゃっ、なにすんのよ!いきなり!」
ハルヒが抗議の声を上げるも構わず続ける。
「精神統一だ」
「はあ?人の頭グシャグシャにしておいて精神統一ですって?いい度胸してんじゃないの!キョン、あんた頭貨しなさい!」
そういって今度はハルヒが俺の頭を目掛けて襲い掛かってくる。
「うおっ!やめろ、ハルヒ!」
もう何がなんだかわからなくなってきた頃、遠くの方から朝比奈さんの声が聞こえてきた。

「涼宮さあ~ん、キョンく~ぅん。お茶にしませんかぁ~?」
朝比奈さんに感謝。古泉と長門も既に揃っているようだ。

「ハルヒ。おまえは桜だな」
俺がボソリと呟いた言葉に乱れた髪の毛を整えているハルヒが耳ざとく反応する。
「あんたの言ってること、ぜんっぜん!意味がわからないんだけど」
少し怒ったような表情で俺を見る。今は意味がわからなくていいんだよ。

勝手に暴走していた心臓もおさまり気持ちにゆとりができる。
ふと見上げると、そこには我が我がと咲き乱れる桜の天井が。そうだ桜に酔ったことにしておこう。

「ほら、朝比奈さんたちのところにいくぞ」
俺は隣で「説明しなさい!」と顔に書いてあるハルヒの頭をポンと軽くたたき他の団員の元へと歩き出した。


2話→散り行く桜の下で
3話→覚悟しなさい

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Author:R254
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