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飛行機見に行こう

あっという間に春の風も吹き抜け新学期がやってきた。
きれいに咲き誇っていた桜も葉桜へと衣替えを始めたこの時期。
春休みの間あれだけ遊びまくって満足しているはずだろう団長様が記念すべき新学年第一回目の不思議探索ツアーの行き先を発表した。

「明日の不思議探索は飛行機を見に行くわよ!」

もう不思議探索なんだかただの遊びなんだかさっぱり分からないんだが。

飛行機、飛行機ねえ。
ここら辺付近で空港と言えば……あそこか。

まあ、俺がそんなことをぼんやり考えているうちにツアコンの才能がある我が団長様は
「古泉くんはスケジュールお願い!」
「はい、仰せのままに」
「みくるちゃんはお弁当の用意をお願いね!」
「あっ、あっ、はいっ。分かりました~」
「有希は……、たまには制服以外の洋服を着てくること!」
「了解」
「で、キョンは遅刻しないこと!」
「はいはい」

と、さっさと各々の役割分担を言い渡し
「じゃ、明日はいつもの場所で11時に集合。今日はこれで解散!帰るわよ」
と本日の部活は終了になった。

翌日、珍しく遅い集合時間にもかかわらず、相変わらず俺は一番最後に到着し、ハルヒに100ワットの笑みで帰りの喫茶店代を奢るように命ぜられ、いざ空港へと出発した。
いつもより30分も早く家を出て最後って、これ絶対おかしいと思わないか?

電車とバスを乗り継ぎやってきたところは飛行機の良く見える公園。
空港へ行って飛行機を見るのかと思いきやこんな場所があったとは。あまり褒めたくはないが古泉の引き出しの多さを認めざるをないな。
「なかなか良い所でしょう。今回はみんなで来ましたが今度は涼宮さんを誘ってお二人で来たらいかがですか?」
おい。なんで俺がハルヒと二人で来なきゃいけないんだ。
「またまた」
にやにやと笑みを浮かべているこいつと話してるとなんだか腹が立つ。前言撤回だ。
さて、ほかのメンバーは、と周りを見ると長門は近くのベンチで相変わらず読書をしている。珍しく制服ではなく私服だ。ライトグリーンのワンピースが可愛らしい。
朝比奈さんは小さい子どもに囲まれてオロオロしている。ついつい顔に笑みが浮かんでしまうほど微笑ましい光景ではないか。
残るハルヒはランプに近い柵でスポットに駐機している飛行機を眺めているようだ。
自然と俺の足はハルヒの横へ向かう。

「空港って見てて飽きないわよね」
そういうハルヒの視線の先には先ほど到着した航空機がスポットへ吸い込まれるように入っていく。
何かを合図に搭乗橋や貨物を降ろす機材にそれらを運ぶトーイングカーやらがわらわらと飛行機へ集まる様は確かに飽きないな。

「しかしなんだって飛行機なんだ?」
俺は横に並ぶハルヒにふと湧いた疑問を聞いてみた。
「だって不思議に思わない?あんな金属の塊が空飛んでるのよ。飛行機自体が不思議でしょ!」
「まあな。そういえばハルヒ、飛行機が何で飛ぶか知ってるか?」
「え?知ってるわけないじゃない。そんなこと考えたら不思議じゃなくなっちゃうでしょ」
とハルヒは俺が薀蓄を語る前に会話を終わらせやがった。

「あっ!ねえ、キョン!見て!!」
キラキラ目を輝かせているハルヒが指差す方向を見ると着陸する飛行機が近づいてくるのが見える。
遠くにいると思ったらあっという間に大きくなり目の前を通り過ぎていく。
地上何メートルの所を飛んでいるのだろう。手を伸ばせば掴めそうな距離だ。
確かに不思議だな。ハルヒが言うとおり、なんであんなものが空を飛ぶかなんて考えるのは野暮かも知れん。
しばらくハルヒと並んで次から次へと着陸をする飛行機を眺める。
間近で見える航空機の腹と腹の奥から響くエンジン音はきっと空港の展望台から眺めたら味わえないだろう。

「うーん、迫力満点なんだけど何か物足りないわねえ……」
さっきまでご満悦だったハルヒは首をかしげる。
確かこの空港は国内線しか運行してなかったような気がするが。主要都市のドル箱路線でも国際線に比べると比較的小さい機体が多いはず。
しかしこんな間近で飛行機を眺めて物足りないとは。さすがはSOS団の団長様と言うべきか。
「そりゃ、あれだろ。国内線だからでかい機体がないからじゃないのか?」
そう進言するとハルヒは合点がいったようで次のプランを打ち出した。

「じゃあ、今度は国際線見に行きましょ!そうだ、その次は船なんてどう?あれも金属の塊なのになんで浮いてるのか不思議よ!うん。みんなで不思議な物を見に行くの」

いつになく楽しそうで100ワット以上の笑顔で言われたら断れるわけがない。
古泉もバイトの数が減るだろうし、朝比奈さんは未来へ報告する懸念事項も少なくなる。長門に至っては観察対象がおとなしくしていてくれることに越したことはないはずだ。

「そうだな。次はもっと大きな飛行機を見に行くか」
隣で目を輝かせて着陸する飛行機を見上げるハルヒに向かって言う。

「------------------------------ぁ~ん!」
航空機のエンジン音の合間にハルヒと俺を呼ぶ声が聞こえる。
「あっ!みくるちゃんが呼んでるわ。喜びなさい、キョン。今日のお弁当はあたしとみくるちゃん、有希で作ったんだからね!」
ほら、行くわよ!とハルヒは笑顔とともに俺の手をつかんで朝比奈さんたちが待つ芝生まで走り出す。

今日はなんて笑顔の多い日なんだ。俺はハルヒの詰まらなそうにしている顔よりこの笑顔を見ているほうがいい。
この100ワットの笑顔が見れるなら飛行機だって船だって見に行くのをいくらでも付き合ってやるさ。

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