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ずるい

 GWも終わって気候は春から初夏へと変化しつつある5月初旬。
 夏かと思うくらい暑かったと思ったら急に春先のひんやりとした寒さになるのは勘弁して欲しい。
日があるうちは暖かかった。部活が終わって帰る頃にはすっかり辺りの気温は肌寒く感じるくらいに下がってしまったようだ。

 今日も何事もなく無事平和に部活は終了し、なぜか習慣と化してしまったハルヒを家まで送り届ける帰り道。
 他の団員は一足先に帰ってしまったため、団長と団員その1の二人で長いハイキングコースを駅へと向かう。

「うー、寒っ」
 隣を歩いているハルヒが寒そうに両手をこすり合わせている。
 俺は制服の上着があるからさほど寒さは感じないが、ハルヒたち女生徒の制服は少し寒そうだ。
「朝の天気予報は一日暖かいって言ってたのに。こんなに寒くなるんだったらカーディガン着てくれば良かった」
「ああ、昼間は暖かかったんだがな。こんなに気温の差があると体調もおかしくなる」
 そんな他愛のない会話を交わしながら坂道を下っているとハルヒの視線が俺のズボンのポケット付近に注視されてるのに気が付いた。
 俺の両手はズボンのポケットに。スカートにはポケットは無い。悪いなハルヒ。

「ずるい」
 そんな事を考えていたらハルヒはどうにもならない事を言ってきた。
 ずるい、って言われてもなあ。こんな時期、手袋もマフラーも羽織るものも持っていないわけだし、さてはてどうしたものか。
 歩みを止めて隣で寒い寒いとアクションをしているハルヒを眺めていたら何を思ったのか
「キョン、寒い」
 そう言ってハルヒは俺に向かって自分の両手を差し出してきた。

「そうか、寒いか」
 少しの間の後、俺は差し出されたハルヒの手を取りギュッと握る。だって寒いんだろ?
 ハルヒはまさか俺がこんな行動に出ると思わなかったんだろう。思い切り驚いた表情をして手の温もりを感じたくらいの時間差で顔が赤くなる。

「ちょ、ちょっt……!」
 俺は握った両手を思い切り引き寄せて自分の腕の中にハルヒを引き寄せた。
 腕の中に納まったハルヒは未だかつてないほどに顔を真っ赤にして俯いている。
「どうしたハルヒ。寒いんだろ?」
 毎日の帰り道に習慣になっていることをたまたま違う場所でしているだけだぞ、俺は。
 なんて思いつつ、もういい加減この習慣の正当化をこの辺でした方がいいんじゃないかと頭の片隅で考える。

 俺の腕の中からハルヒを開放してやると、ハルヒはまだ赤い顔をしたまま表情は睨みつけるも目は笑っている。

 何か言いたそうな顔をしているハルヒの頬に手を当て俺は無言で顔を寄せ、唇ではなく白い頬に軽く口付ける。
 そのままハルヒの耳元で今までなかなか言い出せなかった一言を言葉にする。

「ずるい」
 そのまま抱きついてきたハルヒが言葉とは裏腹に、嬉しそうに呟いた。

「そうかもな」
 今度は頬ではなく唇に口付ける。
 そして俺は照れたようなでも嬉しそうな、今まで見た事のない純粋な100ワットの笑顔のハルヒを思い切り抱きしめる。

 そうしてすっかり習慣になってしまった帰り道の出来事に新しく習慣が追加されたのは言うまでもない。

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Author:R254
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