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歩く速度

不定期連載「少しは考えなさい」の続きです。



「ちょっとキョン!待ちなさい!!」
振り向くとそこにはお怒り顔のハルヒが。


今日は土曜日、まあ例のごとくSOS団団長涼宮ハルヒ主催によるSOS団市内不思議探索ツアーが開催されている。
いつものように駅前に集まって、いつものように俺が最後になって、いつものように俺の奢りが決定して、いつものように爪楊枝でくじ引きをして、珍しく俺とハルヒのペアになったのだ。
なぜかハルヒは5秒くらい不満そうに俺の事を見つめ、それから先ほどの不満はどこに行ったのかという笑みになり、思い切りアイスアメリカンを一気にストローで飲み干した。
「珍しい事もあるのね。んじゃ今日はあたしとキョンは東側、古泉くんとみくるちゃん、有希は西側ね!」

喫茶店を俺の奢りで出て、隣にいるハルヒにどこに行くか聞いてみたところ
「ちょっと行きたい所があるのよ」
と言って俺の事なんてお構いなしにずんずんと歩き出した。あのな、見つからないのは当たり前なのだが見つけなくていいのか?不思議とやらを。

結果的にハルヒの行きたかった所とは駅から程近い百貨店であり、俺はいつの間にかハルヒの買い物につき合わされ、荷物持ちの大役を仰せつかるはめになった。
やれやれ。
しかし女ってのはどうして同じ店を行ったり来たりするんだろうね、欲しけりゃそこで買えばいいじゃないか。
まあそんなこんなしているうちに集合時間が近づいてきて、さてそれじゃあもうそろそろ戻るかと進路を駅前に向けたところで後ろからハルヒの声が飛んできた。

「ちょっとキョン!待ちなさい!!」
振り向くとそこにはお怒り顔のハルヒが。

「あんたねえ、歩くの早すぎるのよ。もう少しあたしに合わせようって気はないの?」
ぷりぷりとお怒りオーラを放つハルヒと俺の間には1メートルくらいの距離がある。
そういえば相手がハルヒだからか何も考えずにいつものペースで歩いちまった。これが朝比奈さんだと時の流れがゆっくりするからってそんな事はどうでもいいか。

「ああ、悪い。気が付かなかった」
「んもう、あんたって変なところに気が利くくせに、こういうところに全く気が回らないんだから」
ご立腹のままハルヒはビシッと俺に指を突きつけてくる。気が利かない俺も悪いが人を指指すのはやめなさい。

俺は指先から熱線ビームでも出せそうな勢いのハルヒの手を軽く払いつつ何気なく思いついた事を口に出した。

「んじゃ、手でも繋ぐか?」

と言ってしまってから俺はヤバイしまったと思った。バカキョン、アホキョン、その他暴言。の後に絶対殴られる。

しかしハルヒは驚いたように目を見開き、すぐに俺があまり見た事のない柔らかい笑顔になって、気が付いたら俺の手を取っていた。
あっという間の出来事に俺は呆気に取られていると急に左腕が重くなった。

「ほら、何ぼやぼやしてんの。行くわよ、キョン!」
そこには悪戯を思いついたときの100wの笑顔ではなく、純粋に嬉しそうな100wの笑顔を浮かべ俺の左手を繋いで、ほら行くわよと1歩先に進んだハルヒが。
俺は視線を自分の左手に落とし、それから少し前を歩くハルヒの後姿に移した。そうした少しの間に俺はこの前屋上で言われたハルヒの言葉を思い出す。

「少しは考えなさい」

ハルヒはまんざらでもない顔だし、繋いだ俺とハルヒの手。
ああ、これはいい方に考えていいんだな。決して自惚れではなく。

さて、この気持ちをいつどこでどのように伝えたらいいのか。俺はハルヒに手を引かれつつ梅雨の合間の気持ちのいい空を仰いで考えた。


1話→桜の木の下で
2話→散り行く桜の下で
3話→覚悟しなさい
4話→少しは考えなさい

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