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 残暑も厳しい新学期のある日。
 空を見上げると先ほどまで清清しく晴れ渡っていた空はあっという間にどんよりとした雨雲に覆われ今にも雨が降り出しそうだ。
 隣を歩くハルヒに俺は数分後には起こるであろう出来事に対しての懸念を問いかける。
「おい、ハルヒ。おまえ傘持ってるか?」
 ちらりとハルヒは視線を右隣にいる俺へと向けて
「そういうあんたは持ってるの?」
 と問いかけで答えてきた。ああ、こりゃあお互い傘なしだな。俺はどんよりした空を見上げて、お願いだから家に着くまで持ち堪えてくれよと空に願いつつ歩く速度を少し早めた。


「げ、降って来た」
 と言った瞬間に俺はハルヒに手を掴まれダッシュでどこぞの軒下に滑り込む。
 タイミング良く軒下に着いた途端、狙ったように雨足が強くなり、なおかつ雷まで鳴り始めた。
「ずぶ濡れにならなかったのはあたしのおかげなんだからね! 感謝しなさいよ、キョン」
 と隣で偉そうに言い放つハルヒにへいへいと適当に返す。
 残念ながら俺の願いは天には届かず、その代わり天からはバケツをひっくり返したような勢いの雨がやってきた。なんてこったい。

「なんか最近多いな、こういうゲリラ雨っていうやつ」
 激しく地面を打ち付ける激しい雨と稲妻が走り雷鳴轟く空を眺めながら隣にいるハルヒに話しかけるが返事がない。
 おや? と思い視線を左隣へ向けると一歩下がりいつもの覇気が感じられないハルヒがそこにいた。

 お、これはもしかして。と俺の頭に一つのワードが浮かぶ。
「ハルヒ」
 俺は隣にいるハルヒに先ほど浮かんだワードに他の文字を充てて一つの疑問を投げた。
「もしかしておまえ雷怖いのか?」
「こ、怖くないわよっ!」
 とキッと俺を睨みつけ、それはまるで自分に言い聞かせるように強い口調で言いながらもピカッと光るとハルヒに掴まれたままの俺の左手に力がかかる。
 やれやれ、どんだけ怖いんだよ。さっきから光ったり音が鳴ったりするたびに強く握られる俺の手にもなってくれ、痛いじゃないか。
 怖くないと言い張る頑固なハルヒを横目で見て俺の悪戯心に軽くスイッチが入る。

「ハルヒ」
「な、何よ」
「そろそろ手を離してもらいたいんだが」
 そう言って俺はさっきから繋ぎっぱなしになっている自分の左手とハルヒの右手を持ち上げる。
「あっ、えっ? はっ! な、何よっ!」
 ハルヒは今頃気が付いたのか気が付いてないフリをしていたのか知らないがパッと手を離す。とそれを狙ったように同時に今までの中で一番激しい稲光が空を走る。
 声にならない悲鳴と共に今々離したばかりの手は元通り繋がれて、かつ痛いほどに握られる。
 まったく、怖いなら怖いって素直に言えばいいのに。俺は心の中で苦笑して繋がれた手を軽く自分の方へ引いてやると不意を打たれたハルヒはいとも簡単に俺の胸におさまった。
「え?」
 と驚くハルヒをギュッと抱きしめてさらりとした髪から覗く耳元に「怖けりゃ抱き付いてくればいいのに」と囁くと
がばっと勢いよく顔を上げて俺に向かって何か言おうとしたときにタイミング良く雷鳴が轟く。
 何か言おうとしたハルヒの口から出たのは小さな悲鳴で俺の背中に回された腕に思い切り力が入る。

「やれやれ、素直じゃないね、うちの団長さんは」
 思わずこみ上げてくる笑いと一緒にそう腕の中にいるハルヒに話しかけるとボソボソと何か言って今度はハルヒからギュッと抱きついてきた。大方「バカキョン、アホキョン」とか言ってるんだろう。

 そんなやり取りをしている間にあっという間に強い雨足は弱まり、雷も勢いはどこかへ行ってしまった。
 このままいくとそんなにかからないうちに晴れ空が戻ってくるだろうが生憎ハルヒは俺に抱きついたまま。
 さてさて、いつになったら雷が止んだと伝えてあげようか。
 暫くこのままでもいいかと思いながら俺は雲が切れ始めた空を眺めた。

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