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誕生日と指輪

「なあハルヒ」
 俺は隣を歩くハルヒに声をかける。
「もうすぐ誕生日だろ。 何が欲しい?」
「んー? そうねえ」
 ハルヒはそう言ってしばらく考え込む。
 そんなに経たない時間の後に俺に左手の甲を向けて
「指輪。指輪が欲しいわ」
 とニッコリ満面の笑み。
 指輪、と聞いて俺は何気なく目の前に差し出されたハルヒの左手と下ろされている右手に目をやった。
 右手の薬指には以前俺からハルヒへ贈った指輪がはまっている。そして差し出された左手は当たり前だけど全席空席。

 おや、これは。

 そう思った瞬間にハルヒは俺の心を読んだのか
「小指よ、小指。別に薬指でもあたしはいいんだけどね」
 と、瞳に悪巧みを思いついたような子どものような光を浮かべ、口元は悪戯っぽくニヤリとし
「学生結婚は色々大変よ」
 なんてさらりと言ってくれたもんだ。

「薬指はもうちょっとかかりそうだな」
 本当は今すぐにでも空席を埋めたいところだけど学生の身分の自分にはまだそんな資格はない。
 俺は差し出された左の薬指に触れて思わず苦笑してしまう。
「そうね、だから」
「だから?」

「一人前になってあたしの事をもらいに来なさい。早くもらってくれないと許さないんだから!」
 そう言ってハルヒは100wの笑顔と共にぽふっと俺に抱きついてきた。

 腕の中に飛び込んできた華奢な体を軽く抱きしめて、柔らかい髪に顔を埋める。
「もらいに行くまで空けとけよ。予約だ」
「あったりまえじゃない! キョン以外考えられないわよ」
 その言葉と共に俺の背中に回されたハルヒの腕に力が入る。
「それはありがたいな」

「だから、今ある幸せが続きますように。今は小指で我慢してあげる」
 ぱっと顔を上げたハルヒは、多分俺以外には見せた事のないであろう笑顔でそう言った。

 今は小指で我慢してあげる、か。まったくハルヒらしいな。
 こりゃあんまり待たせるとハルヒの方からプロポーズされそうだ。さすがにそれは避けたいところだな、なんて考えたら思わず口元がほころぶ。

 そんな俺の顔を見て「?」となっているハルヒがとても愛おしくて、もう一度腕に力を込めハルヒを抱きしめた。

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